今や若手No.1ジャズ・ギタリストとの呼び声も高い実力派、
小沼ようすけさん。その才能ある音楽センスで、私たちに常に刺激ある新しい感覚を味合わさせてくれる。そんな彼がプライベートで楽しんでいる、お茶と相性のよいリラックスミュージックとは?
ロック・ブルース・フォーク・ジャズを絶妙にブレンドし、一切の無駄を排除したシンプルでナチュラルなサウンドが際立つ。
イチオシの1曲はリッキー・リー・ジョーンズの「MY ONE AND ONLY LOVE」。ドラムとギターとボーカルというシンプルな編成。ジャズのアルバムにしては珍しいガットギターとウッドベースを取り入れていたりするのが、ナチュラルで温かな雰囲気を醸し出しています。そこに、リッキー・リー・ジョーンズのウィスパーボイスが重なるのが、すごく心地よい。
自分自身、ギタリストなので、プライベートで聴く場合でもギターの音はとても気になるんですが、ギターメインの曲とボーカルがある曲では、ギターの音の出し方も違うんですよね。この曲に関しては、歌に寄り添うギターの雰囲気がとてもいい。家でくつろぎながらセッションしているような自然さがあります。シンプルな楽器の重なりで1音1音に広がりがあって、全てに温かみを感じさせる雰囲気を醸し出しているところが好きなんです。
職業柄、音楽を聴くときにテクニックや手法を分析してしまうことは多々あります。そんな中でも、自分を無にしてくつろぐことが出来る音楽を、今回は選んでみました(笑)。ギターの音だけを聴くのではなく、アルバム全体の雰囲気やストーリー性を楽しめる作品たちです。
単に、静かな曲ということではなく、人が音楽を通して自分を表現するために1音1音に熱いハートを込めて楽器と向かい合っている部分に、僕は元気をもらうことが多いんです。それが、自分にとってのリラックスのポイントです。演奏者の込めた思いを感じ取れると、ポジティブな気持になることが多いですね。だから、自分自身で曲を作る場合でも“リラックスしてもらおう”と思いながら作ることはありません。いい景色や幸せな出来事、素敵な出会いなど、自分にとっての経験やその経験からもらったポジティブな気持を、そのまま音楽に落とし込むようにしています。
家でくつろぐときに、不可欠なのが音楽とお茶! たとえば、僕はライブなどで静岡に行く機会が多いんですが、茶畑は自分の中でも大好きな風景の一つなんです。日本の伝統的な風景って癒される(笑)。そう考えると、海外発祥の音楽であるジャズと、日本茶である「お~いお茶」が合うというのも、僕の中では納得のいく事実。おもしろいですよね。自分の曲の中でお茶と合うと思う曲は、「Mystic Rites」(アルバム『3,2&1』より)。宮島に行ったときに、ギターを弾きながら遊んでいたらイントロが出来て……。僕の曲の中では唯一、日本の文化を意識して作った曲です。宮島の妖艶な雰囲気を表現した曲なので、きっと「お~いお茶」に合うと思いますよ。
実は、ギターってすごく可能性がある楽器なんです。6本の弦というシンプルな作りながら(押さえる指の)横の動きと縦の動きとの組み合わせで、立体的に、音を組み合わせることが出来る。だから、そのときの気持によって弾くメロディラインが変わったり、毎回雰囲気の違う曲になるんです。そういう意味でギターとお茶ってすごく似てると感じることがありますね。
たとえば、お茶は飲むときの気持によって、ほろ苦く感じたり甘く感じたりすることがある。そのときのシチュエーションによって、いろんな味を楽しめるんですよね。そこに、音楽が加わることで、またお茶の味が変わったり……。そんな音楽とお茶とが奏でるハーモニーを感じることが僕にとってのリラックスなんだと思います。
常に革新性を持ったベーシストとして地位を確立してきたチャーリー・ヘイデン。パット・メセニーとのデュオが話題となったのが本作品。
「巨匠のベーシストであるチャーリー・ヘイデンと、当時、若手のギタリストであったパット・メセニーのお互いを思いやる演奏が、“温かみのある会話”となって心深く浸透する。とにかく愛情に満ち溢れた作品」と小沼さんが語るように、ジャズにはその場の雰囲気や会話が演奏に色濃く反映するそう。
ポップチューンを全面に押し出し、バップ全盛期に衝撃的なジャズを展開した傑作アルバム。ロックやブルースのアーティストにも影響を与えた作品。
「海のような広がりや揺らぎを感じさせる作品。選んだ「IF I FELL」はビートルズの曲なんですが、行き先も決めずに、ただ車を走らせるようなドライブなんかにもオススメの1曲。ギターの奏でる1音に込められたエネルギーに、元気をもらえる気がするんです」と小沼さん。当時のポップチューンをフュージョン的なアレンジで小粋な雰囲気に仕上げた作品だ。
※CDジャケット画像に関して、権利者の許可を得ずに、複製することを禁じます。
ユニバーサル ミュージック(株)